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変われない日本 [■ブログ■]

 12月24日、来年度予算案が閣議決定された。これを基に年明けから国会で議論され予算が成立することになる。自民党政権になって以来、国土強靭化と称して公共投資を優先させている。消費税等の増税で国民に負担を求める一方で、相変わらずの大盤振る舞い・バラマキ予算だ。これでは日本の財政が破綻に向っているように思える。

 同じ日の新聞紙面には、三陸の被災地の防潮堤建設に地元住民から見直しを求める声が高まっているという記事が載っている。今年9月、1993年に起きた北海道南西沖地震で大きな被害を受けた北海道の奥尻島に行き、災害から20年後の姿を見てきた。津波被害が一番大きかった青苗地区の巨大な防潮堤に対し、人の住んでいない海岸沿いの道路から見える波打つ岩の美しさや海の深い青が印象的だった。奥尻町では、生業を絶やさない事、住民が安心して暮らせる島にする事で、島の人口を減らさないようあらゆる努力をしてきた。防潮堤も必要だが、漁業や観光も島の大事な財産であり、海浜を維持することは生業の維持でもあるからだ。それでも被災前の島民4,500人に対して、現在の島民は3,000人を切った。20年経ち、防潮堤近くの民家には人の気配が無い家もあり、大きな防潮堤が果たして必要だったのか? 海は海らしくある方が良いのではないか?と島を一回りしながら感じた。

 こういう言い方は、被災された方々には不謹慎と受け止められるかもしれないが、3.11の東日本大震災とその後の福島第一原発事故が起きた時、あまりにも広範な被害の状況を知って、今までの制度ではとても対応し切れないと思った。この状況に対処するには、新しい仕組みが必要であり、ここから新しい日本を組み立てなおすことができるのではないかと期待した。

 しかし、現実には何も変わらなかった。「未曾有」と言われる災害であり、人的・量的に手一杯で、とても新しい仕組みを考えるどころではなかった面もある。一国会議員として力が及ばす歯痒い限りだ。

 アベノミクスで景気を回復しデフレから脱却すると安倍総理は仰るが、生活格差の拡大は止まらない中で、旧来の自民党のままの大企業重視や、一部の人だけが恩恵を受ける政策、公共投資の拡大、原発再稼働…等々が見え隠れする。

 非正規雇用で不安定な生活をしている人が約4割に達し、年収は平均160万円と言われている。農業政策もTPPを目前にして、生かさず殺さずの中途半端さが目に付く。機会(チャンス)の平等を与える支援や、成長するための競争と再起のためのセーフティネットを併せて整備するような金の使い方なら理解もしようが、自民党には「出(いずる)を制する」という視点は無いようだ。増税したうえに借金に借金を重ねていくような予算原案は受け入れ難い。

 東日本大震災の被災地では、防潮堤に限らず、地元住民の意識と行政の思惑の乖離が広がっている。身の丈に合わせた復興が必要であり、住民の声に謙虚に耳を傾けなければならない。それは被災地ばかりでなく日本全体にも言える。

 日本の将来のために今すべきは、財政健全化に努めることだ。しかし、3.11であれほどの痛手を被ったのに、この国(の立法・行政)は何も変わらず、政権与党は財政の立て直しについて目をそらし続けている。このままでは現実に財政破綻するまで日本は変われないのかもしれない。かつて自治体の財政健全化に取り組んできた者として及ばずながら力を尽くしていきたい。


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奥尻島のシンボル・鍋釣岩

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