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実現しなかった代表質問 [▲国会質疑▲]

 先週末、第186回通常国会が開会しました。結いの党の会派が認められておれば、代表質問の機会が与えられ、それに備えて、質問原稿も作成しておりました。山崎参議院議長はじめ各会派の皆様にお骨折りいただいておりましたが、解消できないまま開会の日を迎えることになり、幻の原稿となってしまいました。ここに、その原稿を公開いたします。


 冒頭、先の臨時国会での特定秘密保護法案の採決等、与党の強引な国会運営に対して遺憾の意を表したいと思います。今国会ではそのようなことがないよう、強くお願い申し上げます。

【集団的自衛権について】
 我が国は、戦後七十年近く、平和憲法の下、みずから戦争を行わず、あるいは他の国が起こした戦争に参加してきませんでした。この間、戦争を行わなくとも社会は豊かになり、経済発展を遂げてきました。
 また、ODAや青年海外協力隊などの経済的な国際貢献活動を通じて国際社会から信頼を得てきました。それが日本という国のあり方ではないでしょうか。
 もっとも、国の安全保障の問題も大事であり、集団的自衛権が我が国の安全保障に資するというのであれば、その議論を入り口の段階で否定するつもりもありません。

 そこで、安倍内閣総理大臣にお伺いします。

 まず、日本国憲法第九条に対する政府見解を変更するのだとすれば、これまで政府が採ってきた憲法解釈のどの点に不都合があったのか、もしくはどういう点が検討不足であったとお考えですか。また、集団的自衛権と矛盾する、自衛隊発動の三要件は放棄するおつもりですか。

   ※注 <自衛隊発動の三要件>
     一 我が国に対する急迫不正の侵害があること、すなわち武力攻撃が発生したこと
     二 これを排除するために他の適当な手段がないこと
     三 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

 次に、積極的平和主義とは、少し乱暴な言い方をすれば、世界平和に対する脅威を画策する国家に対して、同盟国であるアメリカとともに、積極的に武力行使することによって、国際社会全体の秩序を維持する、という考え方だと理解しているのですが、これは日本国憲法九条一項の禁止する、国際紛争を解決する手段としての武力行使、あるいは戦争を認めることに他ならないのではないですか。どのように解釈すれば、武力行使や戦争にあたらない、という結論になるのか説明していただけますか。あるいは九条一項の理念自体まで捨て去るお考えなのかお伺いします。

 第三に、憲法九十六条ではなく、憲法九条の改正について政府が中心になって堂々と正面から検討するおつもりはありませんか。

【アベノミクスについて】
 まず、アベノミクスは、大胆な金融緩和と財政出動によって、円高が是正され、株価も上昇し、今までのところはうまくいっていると思います。アベノミクスが失敗すれば、日本は破綻しかねません。第三の矢で岩盤規制も壊していただいて、しっかりと成功させてもらいたいと思います。
 しかし一方で、財政出動についてはそろそろ無理が出始めてきているのではないでしょうか。
 国土強靱化といえば聞こえはいいのでしょうが、たとえば、何百年に一回の確率の災害に耐えうる高い防潮堤を築くことにどれほどの意味があるのでしょうか。本当に防災上緊急に必要とされるものでしょうか。公共事業のバラマキの口実に使っているとの批判には、どのように答えるおつもりですか。
 私は昨年、一九九三年の北海道南西沖地震の津波で甚大な被害を受けた奥尻島に行ってきました。奥尻島は震災後、島の人口を維持し、漁業や観光等の生業を守るため、防潮堤は人家のある場所を中心に造り、人がいない場所は海浜を残すよう努力しました。それでも震災当時四千五百人だった人口は、現在では三千人まで減少し、人の住まなくなった廃屋を防潮堤が守っている所もありました。
 財政力の弱い地方にとって、過大なインフラ整備は今後の維持管理コストの増大を招くおそれがあります。その維持のために国にさらにお金を出せという話になっては財政健全化など達成できるはずがありません。これからはハード面の整備より、防災教育等のソフト面を重視した対策を考えていくべきではないかと考えますが、それでも国土強靱化を推し進めるのか、総理のお考えをお聞かせください。

【沖縄振興予算について】
 総理の施政方針演説では、沖縄に対して、二〇二一年度まで年間三千億円台の予算を確保し、沖縄の成長を後押しするとのことでした。
 私は、知事経験者として、一般会計のほかに三千億円ものお金があるとしたら、どのように使えばよいのか、と考えてしまいます。こうした疑問を解消するために、今月の十四日から十六日にかけて沖縄を視察して参りました。
 沖縄は、本土と比べて所得が低く、また、歴史的な経緯もありますので、振興策が必要であることは否定しません。ただ、お金だけで沖縄を発展させようとすれば、必ずどこかで無理が出てくると思います。沖縄振興策については、沖縄の県民性や文化を尊重しつつ、どのように成長・発展させるかを考えるべきではないでしょうか。そのためには、まず人材を育てることが必要です。その上で、沖縄独自の制度を認めたり、あるいはASEANに近いという地の利を活かして、イノベーションを推し進めていく必要があるのではないでしょうか。沖縄振興予算は公共工事等のバラマキだけではなく、自律的で持続的な成長に資するように使われるべきだと考えます。
 名護市長選挙で、移設反対派の稲嶺氏が当選し、推進派の末松氏が敗れたのは、政府与党が何でもかんでもお金で解決しようとしたからではないでしょうか。
 国による、上から目線のお金に頼った振興策ではなく、沖縄地域限定の投資減税など、地元の民間活力を活性化するような、制度による振興策を考えていくべきではないかと考えますが、総理のこの点に関する見解をお伺いします。

【消費者問題について】
 私は、昨年八月七日から本年一月二十三日までの間、消費者問題に関する特別委員会の委員長を拝命しておりました。今般、みんなの党を離党し、結いの党に参加したことに伴い、委員長職を辞することになりました。
 消費拡大とデフレ脱却は安倍内閣の金看板だと思いますが、消費拡大のためには、消費者が安全・安心な消費生活を送れるような消費者政策と、現場、つまり地方行政との連携が必要不可欠です。
 しかしながら、その司令塔の役目を果たすべき消費者庁は、平成二十六年度要求額ベースで、たかだか百十四億円の予算に、三百人体制の脆弱な組織に過ぎません。また、地方消費者行政活性化基金にも平成二十年度以降で、約三百四億円が計上されていますが、リーマンショックの際の補正予算や、復興特別会計からの予算であったりと、いびつな構造となっています。消費者庁は本来、消費者政策を通して消費拡大の道標となるような力強い省庁であるべきです。
 先般の臨時国会では、平成十八年から事実上、七年間たな晒しになっていた「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」を与野党の協力の下、ようやく成立させることができました。これを契機に消費者庁に恒久的な予算を付け、人材を確保し、消費者行政にさらに力を入れていくべきだと考えます。このことに関する総理のお考えをお聞かせください。

【格差是正について】
 アベノミクスは、円安、株価上昇、不動産価格の持ち直しといった面で効果が出てきていますが、これらの効果は全ての国民が等しく享受できるものではありません。住民税非課税世帯の人口はおよそ二千四百万人になっています。グローバル化のさらなる進展によって、格差はますます拡大していくことが予想されます。
 格差があるという事実は認めざるを得ません。ただ、意欲も能力もあるならばチャンスは平等に与えられなければなりません。そのためには、教育や、再チャレンジのための職業訓練、人材育成にもっと力を入れるべきではないでしょうか。人材育成は公共事業より重要だと考えます。公共事業に費やすお金の一割か二割を人材育成のために使えば、意欲のある多くの人を留学や研修という形で海外に送り出したりすることも可能になります。総理の格差是正についての問題意識と改善策をお聞かせください。




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