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■隠し場所 …オンカロ■ [■ブログ■]


 百聞は一見に如かずということで、核燃料廃棄物の最終処分場を建設中であるフィンランドのオンカロ(フィンランド語:隠し場所)を訪れた。

 ヘルシンキに夕方到着し、翌日の飛行機に備えて、空港内のホテルに一泊したが、早朝にポリへ向かう便は欠航。のっけから北欧の寒さと厳しさの洗礼を受けた。代替のバスに乗り、途中から車を手配して現地に向かった。

 車窓の景色は北海道の雪原にいるような感じであった。ただただ人家のない水墨画のような静かな大地であった。林の中を越えたら、忽然と最終処分場予定地が目の前に現れた。通訳と一緒に検問を受け、IDカードをいただき、施設を見学した。

 フィンランドは核燃料廃棄物を10万年かけて、400mより深い地下に埋めて保管するという。我々人類がこのまま10万年先まで存在するのだろうか? マンモスだって1万~4千年前に途絶えている。この地球には数万年に一度の氷河期もある。それを10万年維持するという考えを持ち得るフィンランド人の哲学には恐れ入った。ローレンシア大陸を起源とする安定した地盤があってのことだろうが、たかだか2万年ほど前に現在の形になった日本列島、いわゆるナマズの上に国土が乗っかっている地震国・日本において、果たして地層処分は可能だろうか?

 ギリシャ神話の話になるが、天地創造の神ゼウスは、プロメテウスに「人間たちが生きていくための智恵を授けてやれ。ただし、火を使うことだけは教えるな。火は我々神の力。人間に火を使うことを教えると我々の手に負えなくなるかもしれないから。」と命じた。

 我々人類の祖先、ホモ・サピエンスはおよそ10万年前に誕生したといわれる。地球上で火を扱うことのできる動物は人間だけである。それが原子力という手に負えない火に手をつけてしまったのではないかと思った。

 原子力発電の課題は、事故を起こさないことと、使用済み核燃料を処理することだ。この課題と向き合わずして原子力発電の継続をするということは許されない。そういう視点で今一度、原子力発電の在り方を考えることが必要だと思う。私も行動する。

 ところで、せっかく冬のフィンランド。北のラップランドに行けば、トナカイと一緒にオーロラが見られたのに、残念だ…。


   ※ 今回の視察は、私的な調査です。



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