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■原発大国 フランス■ [■ブログ■]


 ヘルシンキからの飛行機が遅れ、真夜中0時、パリに到着した。

 翌日は再び早朝の列車で出発ゆえ、サン・ラザール駅前に泊まった。たとえ数時間でも、ベッドに横になれることは幸せなことよ。クラッシックで質素なホテル、階段を上るよりのんびりなエレベーター。名前がこれまた驚きで、パリに泊まって“LONDRES ET NEW YORK(ロンドンとニューヨーク)”とは、これいかに。

 あくる朝、寝ぼけ眼で通訳と列車に乗った。列車は田園地帯を走り抜ける。人口密度は日本のおよそ3分の1。白い牛、茶色い牛、広大な農地、牧歌的な風景、森、統一されていて絵になる家並み、これが原発大国・フランス※1

   ※1 フランスは電力の77%を原子力で賄っている。

 3時間後、終着駅、シェルブールに到着。アレバ社※2の迎えの車に乗り、厳しい検問を受け、ラ・アーグ再処理工場に入った。

   ※2 みなさんにもご記憶があろうかと思うが、福島原発事故の際、事故対策に協力してくれた企業である。その技術は六ケ所村再処理工場のモデルでもある。

 アレバ社は、ウラン鉱山から核燃料、原子力発電所建設、核燃料の再処理、太陽光・風力発電など…カーボンレス(化石燃料を使わず、CO2を排出しない)・エネルギーのソリューション企業と謳っている。

 このような会社は日本には存在しない。説明を聞いて、個々の技術は日本企業も優れていると思う。ただ、現在の地域独占された日本の電力会社の在り方が、 今回の原発事故にある面でつながったのではないか。日本は原発の危険性ついて、政官産学が「安全」という神話で進めてきた。それは大きな問題であったと思う。

 アレバ社の現地の副所長に、原発は安全なものか?と質問したら、原発は危険が伴うものだ。そういう視点でいろいろと対策している。もちろん、地域住民に対しても、そのような説明をしたうえで施設を運営している。 という答えだった。

 「安全」と言う日本。「危険も伴う」と言うフランス。両者の考えの間には、天と地ほどの開きがある。フクシマの事故は取り返しのつかない大惨事である。「想定外」と言われるが、一面では、その考え方が今回の事故につながったと改めて思った。一日も早い事故の収束はもちろんだが、核燃料廃棄物処理も含めた将来の原子力政策の在り方については、国会が判断しなければならない。

 フィンランドのポシヴァ社に続いて、フランスのアレバ社を視察したのは、核燃料廃棄物を直接(地層)処分するフィンランドに対し、フランスは核燃料廃棄物を圧縮再処理したうえで、ガラス固化して、最終的に地層処分する。これは直接処分するよりも廃棄物が少なくなる。日本の六ケ所村再処理施設もこの方式を採っており、両社を見たかったからだ。

 夕刻、冬のドーヴァー海峡に重く垂れこめた空の下で、視察の感謝を述べ、映画で有名なシェルブールの雨傘をお土産にいただき帰途についた。

 この雨傘を差して、シェルブールの街並みを散策できなかったことは残念だ…。



最後に…


暖かく迎えてくださいました、

 フィンランドのポシヴァ社

 フランスのアレバ社

また、今回の視察にあたり ご協力くださいました、

 資源エネルギー庁 原子力政策課

 外務省 欧州局西欧課

       在フィンランド日本大使館

       在フランス日本大使館

の関係各位の皆様に、心よりの感謝を申し上げます。



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