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満場一致は無効-ユダヤの教え [■ブログ■]

 秋田県の県議会もそうであるが、全国各地の自治体でも満場一致で決議するケースが多々見受けられる。例えばTPPに参加するかどうかも、こぞって反対の満場一致。誠に残念なことである。

 イエスが生きていた時代のユダヤには、サンヘドリンという国会と最高裁判所を一緒にしたような機関があって、そこでは「全会一致の議決(判決)は無効とする」という規定があった。神ではない人間は完全な存在ではないので、全員一致して正しいとした判断は、全員が一致して間違っている・・・という考え方である。少数の異論がある多数者の意見は比較的正しいと信じて良いが、全員が一致してしまうとその正当性を検証することができなくなり、誤りを証明する方法が無いから無効とされる。

 全員一致が決議の正当性を保証すると考える日本人の感覚ではピンと来ないかもしれないが、世界にはこういう考え方もある。

 満場一致で決定したことが果たして正しいのかどうか。TPPに関して言えば、反対する人に、それではその先どうするのかと聞いても、明確な答えは返ってこない。決議に関わった責任のある立場である議員も含めて、反対した時点で思考停止してしまっている。

 TPPと言えば、よく話題に上がるのが農業だが、日本の農家一軒当たりの耕地面積は平均して1.2haくらいしかない。この一軒一軒がこのままで、世界を相手に競っている海外の農業に対抗していくのはムリだということは理解できる。だかしかし、今のままなら日本の農業は確実に衰退してダメになってしまう。

 社会保障費は年々増加し、国の財政は破綻寸前と聞いても、多くの人は実感が湧かないかもしれない。しかし、よく「ゆりかごから墓場まで」と言われるように、子育て・義務教育・医療・介護・・・亡くなった時の火葬まで、所得の多寡にかかわらず、この国に生きる全ての人が一定程度のサービスを受けられるのは、それら全てが税金で賄われているからだ。

 今までの日本は経済成長によって税収をあげ、このようなサービスの形で再配分してきたが、今は借金を重ねながら賄っている。このまま何も手を打たず経済を停滞させたままでは、従来通りのサービスを維持することは当然出来なくなる。

 そのために税金は必要なのだ。成長する産業、時代のニーズとグローバル社会に対応できる企業・人材を育成し、経済を攻めの方向に牽引して税収を増やさなければならない。このままでは、全ての人が安心して暮らし老いていける社会が遠のく。

 なかでも農林水産業は立派な産業資源だ。しかも、地方を直接支えていると言っても過言ではない。成長政策として位置づけ、世界に打って出て行くことを考えなければ、この先、地方は高齢化と担い手の不足で先細ってしまう。それは経済の更なる疲弊につながる。

 殻に閉じこもった守りの農業から脱却し、強い農業者を育成し、海外も相手に「稼げる農業」を確立して経済を活発にしなければならない。日本の農業にはそれができる底力があると信じている。

 満場一致で反対するのは構わないが、そのまま思考停止してしまってはおしまいだ。



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