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過度なおもてなし ~どうなる日本の財政~ [■ブログ■]

 ソチオリンピックが開幕した。2020年には東京オリンピックがやってくる。『おもてなしの国・日本』をキャッチフレーズに準備に余念が無いようだ。「おもてなし」という言葉を耳にして、ふと考える。日本は、国民に対して財政力以上の「おもてなし」をし続けて、世界一の借金王国になった、と。

 行政サービスは「ゆりかごから墓場まで」と言われるように、きめ細かな制度が整っている。その全てがとは言わないが、おらが町の首長や議員に住民が要望し、議員の要望に沿って役人が制度を作ってきた事の繰り返しと積み重ねの結果でもある。

 しかしその裏で、票欲しさに中身を精査せず要望に応える首長・議員、彼らを取り込んで省益を満たしたい官僚、既得権を守りたい業界の三つ巴で手を取り合う利益政治が続いてきた。

 制度が未整備だった時代、経済が右肩上がりで税収が伸び続けた時代は、行政サービスが増えていっても何とかなった。だが今はどうだ?

 2月3日の日本経済新聞の特集記事では、世界各国で借金が増えるなか、日本は先進国の中でも突出して借金が多く、GDP(国内総生産)の2.4倍。人口一人当たり約880万円の借金になるという。

 毎年これほどの借金を積み重ね、更に、高齢化の進展で社会保障費は年間1兆円ずつ増加していくと言われて久しいのに、住民は行政サービスにコストがかかっているとは考えず何でも役所頼み、地方は国頼みで交付税・補助金を減らさないでくれの一点張りで自立しようとしない。相変わらずの利益政治・口利き政治が横行し、自分の所にさえ金が来れば良いと、国の財政のことなどお構いなしだ。

 これほどの借金王国に誰がした?…と言うかもしれないが、これは全ての国民に等しく負担が伴うことであり、今こそ互いに真剣に国家の財政問題を考え、本気で借金を減らす努力をしなければならない。

 それなのに、安倍政権と与党は高い支持率を背景に相変わらずの大盤振る舞いだ。このままの舵取りで、東京オリンピックを迎える2020年のプライマリーバランス※1の黒字化達成が本当に可能なのかと問いたい。

 戦時中、「一億玉砕火の玉だ」というスローガンがあった。今から考えれば信じられないだろうが、当時、大多数の日本国民はそれを当然のことと受け止めていた。「一億玉砕」はポツダム宣言※2の受諾によって回避された。このまま突き進めば日本の財政は「一億玉砕火の車」になってしまう。日本の財政破たんを止めるポツダム宣言は果たしてあるのだろうか?

 秋田には「ホジつける」と言う言葉がある。一般的な日本語に直せば、「(幻覚から)目を覚ます、気が付く、正気になる」といったような意味だ。
  やんべホジつけねばならねぇどさ来てら。
  (=いい加減に目を覚まさなければならないところまで来ている)
この言葉を安倍政権に届けられるよう、今国会も奮起したい。

 

 

※1【プライマリーバランス】基礎的財政収支とも言う。国や地方自治体の一般会計で、歳出の総額から公債費(借金の支払い)を除いたものと、歳入の総額から新たな借金(公債などによる収入)を除いた収入との収支のバランスのこと。「プライマリーバランスがプラス」と言うと、その年の支出は借金に頼らずに税金などの収入でまかなえ、「マイナス」と言うと、借金しないと一年間の必要経費がまかなえないことを意味する。

※2【ポツダム宣言】1945年7月26日、米・英・中3国が日本に対し、軍の無条件降伏を勧告した対日共同宣言(ソ連は8月8日に参加)。当初、日本政府はこれを無視したが、広島への原子爆弾投下、ソ連の対日宣戦、長崎への原子爆弾投下をうけ、ようやく受諾し、第二次大戦が終了した。


変われない日本 [■ブログ■]

 12月24日、来年度予算案が閣議決定された。これを基に年明けから国会で議論され予算が成立することになる。自民党政権になって以来、国土強靭化と称して公共投資を優先させている。消費税等の増税で国民に負担を求める一方で、相変わらずの大盤振る舞い・バラマキ予算だ。これでは日本の財政が破綻に向っているように思える。

 同じ日の新聞紙面には、三陸の被災地の防潮堤建設に地元住民から見直しを求める声が高まっているという記事が載っている。今年9月、1993年に起きた北海道南西沖地震で大きな被害を受けた北海道の奥尻島に行き、災害から20年後の姿を見てきた。津波被害が一番大きかった青苗地区の巨大な防潮堤に対し、人の住んでいない海岸沿いの道路から見える波打つ岩の美しさや海の深い青が印象的だった。奥尻町では、生業を絶やさない事、住民が安心して暮らせる島にする事で、島の人口を減らさないようあらゆる努力をしてきた。防潮堤も必要だが、漁業や観光も島の大事な財産であり、海浜を維持することは生業の維持でもあるからだ。それでも被災前の島民4,500人に対して、現在の島民は3,000人を切った。20年経ち、防潮堤近くの民家には人の気配が無い家もあり、大きな防潮堤が果たして必要だったのか? 海は海らしくある方が良いのではないか?と島を一回りしながら感じた。

 こういう言い方は、被災された方々には不謹慎と受け止められるかもしれないが、3.11の東日本大震災とその後の福島第一原発事故が起きた時、あまりにも広範な被害の状況を知って、今までの制度ではとても対応し切れないと思った。この状況に対処するには、新しい仕組みが必要であり、ここから新しい日本を組み立てなおすことができるのではないかと期待した。

 しかし、現実には何も変わらなかった。「未曾有」と言われる災害であり、人的・量的に手一杯で、とても新しい仕組みを考えるどころではなかった面もある。一国会議員として力が及ばす歯痒い限りだ。

 アベノミクスで景気を回復しデフレから脱却すると安倍総理は仰るが、生活格差の拡大は止まらない中で、旧来の自民党のままの大企業重視や、一部の人だけが恩恵を受ける政策、公共投資の拡大、原発再稼働…等々が見え隠れする。

 非正規雇用で不安定な生活をしている人が約4割に達し、年収は平均160万円と言われている。農業政策もTPPを目前にして、生かさず殺さずの中途半端さが目に付く。機会(チャンス)の平等を与える支援や、成長するための競争と再起のためのセーフティネットを併せて整備するような金の使い方なら理解もしようが、自民党には「出(いずる)を制する」という視点は無いようだ。増税したうえに借金に借金を重ねていくような予算原案は受け入れ難い。

 東日本大震災の被災地では、防潮堤に限らず、地元住民の意識と行政の思惑の乖離が広がっている。身の丈に合わせた復興が必要であり、住民の声に謙虚に耳を傾けなければならない。それは被災地ばかりでなく日本全体にも言える。

 日本の将来のために今すべきは、財政健全化に努めることだ。しかし、3.11であれほどの痛手を被ったのに、この国(の立法・行政)は何も変わらず、政権与党は財政の立て直しについて目をそらし続けている。このままでは現実に財政破綻するまで日本は変われないのかもしれない。かつて自治体の財政健全化に取り組んできた者として及ばずながら力を尽くしていきたい。


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奥尻島のシンボル・鍋釣岩

臨時国会を終えて [■ブログ■]


特定秘密保護法案に揺れた第185回臨時国会が終わった。事務所には、全国から法案に反対するというFAXが連日届いた。マスコミもメディアや紙面を通じて反対を唱えた。法案の内容は稚拙で曖昧で内容が分かりにくく、特定秘密とそれを守る法案が必要だとは認めつつも、安倍政権がなぜこの法案の成立を急ぐのか私には理解できなかった。

法案の内容はさておき、自民党の独断専行に、今回ほど数の横暴の恐ろしさを感じた事はなかった。参議院では、中川・国家安全保障特別委員長が委員長職権を振りかざし、強引に採決まで持って行ったのはご存じのとおりである。

特定秘密保護法案が連日報道される陰で、私が委員長を務める消費者問題に関する特別委員会では、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続きの特例に関する法律案(以下、集団訴訟法案)が審議されたが、こちらも難産だった。

7~8年も前から審議に上がっては時間切れで廃案が繰り返されてきたこの法案。今回も、与党が特定秘密保護法案の審議を優先したため、両法案の担当である森雅子大臣の日程が取れず、また廃案になるだろうと言われていた。

日本のGDP(国内総生産)の6割にあたる約300兆円を個人消費(皆さんの毎日のお買い物など)が占めている。食品表示の偽装問題、美白化粧品被害、高齢者の詐欺被害、ネット消費の問題…日々の生活を送るなかで多様な問題が起きている。この集団訴訟法案は、一人当たりの被害額が小さかったり、一人で企業を相手に裁判を戦えず諦めたりで、泣き寝入りするしかなかった人々を救うものであり、国民の安全で安心な消費生活を守るために、私はこれ以上の先送りは許されないと思った。安部政権がアベノミクスを掲げ成長戦略のなかで消費拡大を謳うなら、この法案を疎かにするのはおかしい。

しかし実際は、秘密保護法案成立のために、与野党はこの法案を人質に取った。与党は森担当大臣の趣旨説明の日程を回さず、11月6日に委員会に付託されてからずっとたなざらしの状態が続いた。与野党の国会対策委員長(以下、国対)は秘密保護法案の駆け引き優先で、与党・自民党は速やかな成立のために、野党(特に民主党)は審議日程の確保のために、それぞれの理由で消費者特に森大臣を取られることを拒んだ。そんな状況のなかで、与野党筆頭理事がそれぞれの国対を懸命に説得してくださり、また野党各会派の理事も法案審議を進めるために積極的にご協力いただいたおかげで、二度の委員長職権で委員会を開き、集団訴訟法案は全員出席の全会一致で委員会を通過し、翌日12月4日の本会議にて全会一致で可決され、特定秘密保護法案の隙間を縫うように綱渡りで成立した。

大事なことほど広く深い議論が必要だ。今回の特定秘密保護法案は、あまりにもお粗末なうえに拙速であり、有事の際に国民の生命・財産を守る国民保護法との整合性の無さも含めて、到底受け入れられるレベルの法案ではなく、本会議で反対票を投じた。結果、二度目の造反で党にいる訳にはいかなくなり離党し、消費者特別委員長の席も辞退した。

四ヶ月程の短い委員長職だった。欲を言えば、食材偽装問題の集中審議を参議院でも開きたかったし、消費者庁の予算が間に合わせの補正予算や震災復興財源で回されており、当初予算で見られていないこともこの機会にきちんとしたかった。時間が足りなかった事が悔やまれるが、懸案の集団訴訟法が成立したから悔いはない。積み残した課題は今後の国会審議を通じて問題提起していこうと思う。

結いの党は15人の小さな所帯で船出した。ことわざに「枯れ木も山のにぎわい」と言う。これからは結いの党の副代表として、若い木々の間で、枯れ木の身にムチ打って頑張っていきたい。


TPPと農業 [■ブログ■]

農業関係者も含め多くの皆様から、「日本はTPPに参加するの?」と質問を受ける。

自民党は、「農業の主要5品目を特別扱いしなければ参加はしない」など曖昧模糊な表現をしている。いずれにせよ秋頃には結論が出るだろう。
  (米、麦、牛・豚肉、乳製品、甘味資源作物(サトウキビ、砂糖大根など))

私が思うに、TPPには参加せざるを得ないだろう。ほとんどの品目は、例外扱いにはならないと思う。この国は貿易で成り立っている。仮に参加しなければ、TPP参加国も含めた世界から孤立する可能性がある。そうなると株価は暴落し、一千兆円もある国債も含めた国全体の借金の長期金利が上昇する。そして円安が進行して輸入価格が上がる。日本は借金の金利負担も含めて経済破たんの道を進むことになるだろう。大げさでも何でもなく、それが現実だろうと私は考えている。

政権与党・自民党を含め政治家は、自らの責任のもとに、国民に起こりうる現実をしっかりと説明しなければならない。農業は国の基幹産業だ。今までの保護主義的な補助金頼みの農業ではこの先やっていけなくなる。TPPに参加しても成り立つ農業を作り上げなければならない。

そのためには、先ず人材育成が大事だ。異業種も含めた農業への参入を進めること。そうすれば、旧来の農業の枠を超える新しい農業のシステムが生まれてくるだろう。あわせて、

 ・消費者の視点や意見を取り入れること
 ・減反政策はやめて、農業への民間参入を認めること
 ・農・工・商が一体になって製品開発・販売促進に取り組むこと
 ・冬期間耕作できない雪国では加工食品の開発に力を入れること …

などをひとつずつ進めていくことで日本の農業は生まれ変わることができる、と私は信じている。変わることが農業の新たな成長と可能性を広げる。


タグ:TPP 農業

2100年と原発 [■ブログ■]

安倍内閣は順風満帆。政策は「景気(経済対策)だ!景気だ!」と、まるでアニマル浜口さんの「気合だ!気合だ!気合だ!」の連呼と重なって見える。

国民の気分を高揚させることは国の発展にもつながるので良いことだ。しかし現実には、国の借金が多いのに未だに借金を重ねるという。たとえ景気が良くなったとしても格差の広がりは止まらないだろう。今回の経済対策は、次の世代につけを先送りする制度設計になっている。

原発もしかりだ。安倍政権は、あの大きな福島第一原発の事故があったにもかかわらず、3年以内に順次再稼働に目途をつける方針で、さらに、海外に輸出もするという。電力業界はもちろん、経済界も肯定的のようだ。

原発は一度稼働させてしまえば、安全に終わらせるためには人間の尺度をはるかに超える時間を必要とする。そのための人材や技術の維持は確かに大事だ。しかし、それを盾に使用済核燃料の最終処分の見通しをつけないままに、また原発を推進することは、「今の自分たちさえ良ければ、それで構わない」と言っているも同然で無責任だ。

この春、国立社会保障・人口問題研究所が初めて2100年までの日本の人口推計を発表した。中程度の予測でも2100年の日本の人口は5千万人を割り込むという推計が出ている。87年先の2100年には、現在生きている人はもうこの世にいない。人が半減したこの国のあちこちに、廃墟になった原発だけが、相変わらず原子の熱を発しながら残っていることだろう。前にも書いたが、フィンランドでは450mの地下に10万年かけて保管するという。

今こそ廃炉に向けた道筋をつけ、最終処分の方法と場所をきちんと定めなければならない。「今さえ良ければ」という無責任な感覚で、我々の子孫につけを回してはならない。それこそ自分に気合を入れて、強靭な(?)安倍政権の目を覚まさなくては!

気合だ! 気合だ! 気合だ!   (アニマル浜口さんに感謝!)


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