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▲7/11 本会議質問全文▲ [▲国会質疑▲]

7/11参議院本会議における質問の全文は以下の通りです。

(元原稿のため、本会議における発言とは若干の差異がございます)

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《ここから本文》

 今は「あたりまえ」のことが難しい時代になりました。

 かつては、親が子どもを養い、子どもが親を養うという社会が「あたりまえ」のことでありました。しかし、急速な少子高齢化や、核家族化、女性の社会進出などにより、それまでの「あたりまえ」のことが維持できなくなりました。これこそが、子ども・子育てや、医療・年金・介護の根本的な課題であります。
 子ども・子育て支援は、これまで、教育政策の下にある幼稚園行政と、福祉政策の下にある保育園行政とが、完全に縦割りとなってきました。さらに、幼稚園業界、保育園業界、それぞれの利害を代弁する国会議員などが、その縦割りを助長してきました。
 サービスを受けるのは子どもであります。しかし、大人の都合でサービスをゆがめてしまっています。こうした状況はおかしいという発想が、幼保一元化の議論の始まりだったのではないでしょうか。
 私が、12年間の秋田県政において、子ども・子育て支援に取り組んだ原点は、幼稚園児と保育園児の間に、小学校入学時点で、学力に格差が生じている状況を おかしいと感じたからであります。2010年の全国学力・学習状況調査では、小学六年生と中学三年生の国語・数学の正答率で、幼稚園出身者と保育園出身者の間に3%から6%の差があります。秋田県では、2004年に県の教育庁に幼保推進課を設置し、幼稚園・保育園行政を一本化、2006年に全国初の認定子ども園の認定を受けました。
 今回の法案は、当初の政府原案にせよ、3党合意の修正案にせよ、明らかに不十分であります。しかしながら、将来の幼保一元化の出発点になるものだと、私個人は評価しております。以下、幼保一元化を実現すべき、との観点から、野田総理・平野文科大臣・小宮山厚労少子化担当大臣に質問をいたします。

 第一に、今回拡充される認定子ども園、特に幼保連携型が今後着実に増えていくのか、その見通しについてお尋ねいたします。
 政府原案では、幼稚園の子ども園への移行を義務化せず、その後の3党合意の修正案では、保育園の移行も義務化されなくなりました。今後、幼保連携型への移行を促すために、財政その他のインセンティブをつけた手挙げ方式にするとの答弁を聞いております。果たして具体的な実効性があるのか疑問に思えます。
 今年の4月時点でわずか911件の認定子ども園を、今後、いつまでに・どの程度 増やそうとしているのか。目標値をお示しいただきますとともに、その実現に向けた方策について、小宮山大臣、具体的にご答弁ください。

 また、幼保連携型の認定子ども園を増やすという観点に立つなら、例えば全体の4割弱を占める市町村立の幼稚園や、国立大学附属の幼稚園からの移行を義務づけることで、全体の呼び水とすることも考えられると思います。特に国立大学付属の幼稚園は、教員養成の場として設置されております。保育もできる幼稚園教諭を養成する上で、幼保連携型にすることが必要と考えています。この点について、平野大臣と小宮山大臣、それぞれ 見解をご答弁ください。

 第二に、幼保連携型の認定子ども園の設置主体に、株式会社やNPO法人の参入を排除したことの影響についてお尋ねいたします。
 政府原案では、幼保連携型の総合子ども園の設置に、一定の要件を満たす株式会社やNPO法人の参入を認めておりました。しかし、3党合意の修正案では、民間参入を認めない形となり、明らかに後退してしまいました。この一連の動きの裏には、私立幼稚園団体の猛烈な巻き返しがあったのではないか、それに国会議員が乗せられてしまったのではないかと邪推しています。
 この修正によって、幼保連携型の認定子ども園の増加に歯止めをかけてしまうのではないでしょうか。この点について、平野大臣と小宮山大臣、それぞれ見解をご答弁ください。

 第三に、従来型の保育園における教育の質の担保についてお尋ねいたします。
 先ほど、小学校入学時点で、幼稚園児と保育園児の間に学力の格差が生じている状況を指摘しました。これはなんとしても解消する必要があります。3党合意の修正案によって、幼保連携型の認定子ども園に移行しない保育園は、そのまま保育園として残ることとなります。こうした従来型の保育園における幼児教育の質をどのように担保し、高めていくつもりなのか、平野大臣と小宮山大臣、それぞれ具体的な方策をご答弁ください。

 第四に、今回の認定子ども園改正法案、子ども・子育て支援法案の附則に含まれる、検討・見直し条項についてお尋ねいたします。
 3党合意の修正案により、いわゆる子ども・家庭省の設置、幼稚園教諭と保育士資格の一体化、処遇の改善や人材育成に関する検討・見直し条項が追加されました。 論点はこれだけですか?
 例えば、2000年に導入された介護保険制度は、3年から5年ごとの見直しを繰り返しながら、制度を熟成させてきました。介護保険法の見直し条項を見ると、問題意識があらかじめきちんと列挙され、検討することを明確に規定しております。
 制度を熟成させるためには、あらかじめ想定される論点をきちんと列挙し、かつ必ず検討する見直し条項を規定すべきであると考えます。この点について、小宮山大臣、見解をご答弁ください。

 第五に、いわゆる子ども・家庭省の設置についてお尋ねいたします。
 今回の関係法律整備法案によって、文科省、厚労省に加えて、内閣府にも制度を所掌させるという、おかしな3元体制がベースになっております。
 子ども・子育て支援法案の附則には、法律公布後2年を目途に組織の在り方を検討するとあります。今回の子ども・子育て新システムの検討に携わった、内閣府、文科省、厚労省それぞれの担当者に聞きますと、最初は省庁間であつれきもあったが、最後はみなが同じ方向を向き、一緒に協力・連携できましたと言います。2年後と言わず、野田総理の強いリーダーシップがあれば、すぐにでも結論は出るのではないですか? 野田総理、見解をご答弁ください。

 第六に、社会保障と税の一体改革の前提に行うべき、自ら身を切る改革についてお尋ねいたします。
 私は、昨年12月7日この場所で、野田総理に対し、“政治生命をかけて、自らの考えで決断し、この国を前に進めてほしい”と申し上げました。今回の社会保障と税の一体改革を、野田総理がぶれずに進めたことについては、1人の政治家として、率直に評価したいと思います。
 ただし、国民に増税という痛みを負ってもらう以上、増税の前にやるべきことがあります。国民に約束した身を切る改革――議員定数・歳費の削減、公務員制度改革、地域主権改革――は、いまだ懸案として残されており、確実に目標と期限を定めて進めていく必要があります。 野田総理、その意気込みをお聞かせください。任期中にやりますね?

 最後に、衆議院での法案採択を巡って、民主党は分裂しました。それにより国会を2週間空転させたことについて、野田総理、率直に反省の弁を述べていただきたいと思います。

 しかし、社会保障と税の一体改革を進める人、党を割って出た人、それぞれが党利党略に走ったと後ろ指をさされないよう、信念を貫いてください。

 昨年3月の子ども手当つなぎ法案に、私自身、党 方針に反して賛成しました。今日の質問で子ども・子育て支援を一歩でも前に進め、実をとるために、あえて応援質問をいたしました。それも信念であります。これによって、私も党を出なければならなくなるかどうかは、野田総理をはじめとする閣僚の皆さんの答弁と、その後の対応が真摯になされるかにかかっております。是非、実のあるご答弁をお願いいたします。

《本文終わり》

質問の様子はこちらからどうぞ↓↓
Youtube「寺田典城(てらたすけしろ)」チャンネル


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