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■アメリカ視察を終えて■ [■ブログ■]

 今日の日本の国民所得の状況は、20数年前と同じ状況だという。ところが、当時の日本は「一億総中流」と言われたのに、今は働く人の3割以上が非正規労働者であり、年収が300万円以下の人は人口の半分を占める。

 日本では、高校や大学を卒業して採用される、いわゆる新卒採用のレールから外れてしまうと、生涯を通して低所得に陥る可能性が高い。これに対しアメリカでは、一旦学校を卒業し社会に出た後に、再び学校に入り直して学ぶという人が20%以上いる(日本ではその10分の12%程度に過ぎない)。その受け皿のひとつが、今回視察してきたアメリカのコミュニティカレッジである。

 コミュニティカレッジは、2年間の短期大学あるいは職業訓練学校のような所で、高卒・18歳以上で職業能力を高めたい人に広く門戸を開放している。学費も年間3,000ドルと安く、奨学金制度も利用が可能である。カリキュラムが豊富なうえに、単位の互換等も柔軟で、入学後の努力によっては、4年制大学へ編入学することもできる。

 日本には、文部科学省の高等教育機関と、厚生労働省の職業能力開発機関がそれぞれあるが、省庁のタテ割りの影響で、幼保一体化の問題と同様に、人材育成・職業能力開発が一元化されていない。

 100年以上の長い歴史をもつアメリカのコミュニティカレッジだが、今までは日本同様にタテ割りだったのを、アメリカも日本と同様に世界的な競争にさらされ、賃金が下がり低所得者が増えていることに危機感をもったオバマ政権が、ミドルクラスを増やすべく、一体化した施策として、特に力を入れて推進している。

 グローバル社会の到来により、アメリカも日本も今までのやり方が限界に来ている。いつの時代もそうであるが、社会の変化に直面した時を生き抜いていくためには、更なる教育によって、変化した社会に対応できる人材を育成することが大切だ。個々人の所得を増やし格差を是正していくことは、これからの大きな政治課題であることを強く感じた視察であった。

 このたび8年ぶりに訪れたアメリカはどこか疲弊している感じがした。ニューヨークの道路はガタガタで、高層ビルの窓は掃除がされておらず汚れていた。経済の厳しさが節約に走らせているのだろう。以前は、街を歩く人の姿に、ラフな雰囲気の中にも、しゃんとした感じがあったものだが・・・。

 それにしても飛行機で片道13時間の道のり。私は元よりシワシワだから構わないのだが、乗った時には初々しいキャビンアテンダントさんたちも、到着する頃には機内の乾燥した空気のせいでお肌がシワシワになってしまっていた。乗る方も疲れるが、キャビンアテンダントの方々も大変そうであった。しかも時差も13時間。昼夜が逆転した毎日で、時差の辛さを改めて感じたアメリカ行だった。

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最後に・・・

誠意をもって応えてくださった

  連邦教育省 職業・成人訓練局

  連邦労働省 雇用教育局

  コミュニティカレッジ協会

  北バージニアコミュニティカレッジ(NOVA)

  ニューヨーク市立大学ラガーディアコミュニティカレッジ(LGCC)

また、視察にあたりご協力くださいました

  外務省 北米局北米第一課

        在ワシントン日本大使館

        在ニューヨーク日本総領事館

の関係各位の皆様に、心からの感謝を申し上げます。


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